
国内設備投資額が5年連続増加!日経平均株価の押上げ要因となるか
日銀が先週末に発表した、追加緩和策であるETF上場投資信託の買い入れの増加をはじめたとの見方が広がり、日経平均株価を押し上げる形となりました。
国内設備投資額が5年連続の増加
日本政策投資銀行は、今年度の国内設備投資額が去年に比べて10%以上増加し、5年連続で増える見通しだという内容を発表しました。
16年度 設備投資計画調査
国内設備投資額:17兆5,178億円(10.9%アップ)
産業調査部からは、この5年連続の増加と内容を見る限り、基調は明るいと判断できるという意見を述べられていました。
これらの内容の主な部分には、自動車メーカーによる自動運転の技術開発のための投資や、医薬品メーカーが研究開発への投資を増やす見込みだと見られています。
具体的な内容としては、航空機や自動車などの製造業は14.5%の増加。
2020年の東京オリンピックを見据えた、鉄道や不動産の投資が拡大する非製造業は8.8%増える計画です。
日本企業の設備投資への意欲は続くのか?
2016年度の大企業が計画する設備投資は、5年連続で増える見通しとなりました。
しかし、日銀のマイナス金利の効果での数字なのかどうかについては、正直見えてこないままです。
製造業の想定為替レートが平均して113円と足元の水準よりも大きく円安であることから、輸出減や業績悪化で投資意欲を冷やしてしまう原因となる可能性があります。
ただし、投資額の伸びは鈍くなっている上に、円高の影響を受けている事で企業業績が下振れしていることから、計画通りに設備投資が進まない恐れもあると言われていますね。
外部環境が不透明な中での心強い数字ではありますが、この設備投資はあくまでも計画であり、下振れる可能性もあることを忘れてはなりません。
マイナス金利政策の効果ではない?
また、マイナス金利で設備投資が増えたという声はほとんど聞いておらず、元々手元にあった資金を使って設備投資をしている企業が多いことから、どうしても効きにくいのではないかともおっしゃっていました。
日銀は、マイナス金利政策を導入して金利を押し下げ、金融機関から企業への貸出が増える事を狙っていますが、本当に期待通りの効果が出ているのかどうか心配なところです。
堅調な設備投資だが実態は厳しいのでは?
この数値昨年よりは、若干減っているということですが、悪い数字ではないようです。
夏の調査と実際のGDPの設備投資の比較をすると、夏の調査が1%伸びるとGDPそのものの設備投資は0.7伸びるということです。
この水準は若干低いという部分はありますが、今回の数字を使ってGDPがどのくらい伸びるかを計算すると、おおよそ5~6%ではないかと見られています。
ただ、ここ数年間は先程の計算よりも少し低めに、実際の設備投資が出るという傾向があります。
では、これで足りるのかというと、正直なところ足りません。
なぜかというと、2%のGDPを目標とした場合、労働力が減っている中、ものすごく生産性を上げなければなりません。
そのための十分に生産性が上がるくらいの設備投資とは、いったいどのくらいなのか?というと、8~10%は必要だと見られています。
ですから、先ほどの計算で出した5~6%程度伸びただけでは足りない、という結論になります。
そういったことを含めて考えると、やはり規制改革のペースを上げるなどして取り組んでいかなければ間に合わないのではないか、という見方ができるというのが、この数字のもう一つの見方だと言えます。